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「ごめんね…」
隣りで泣いてる彼女を見て、私は躊躇いながら言葉を漏らした。
「……なんで、あなたが…っ、謝るの…?」
前川さんは嗚咽を堪えて、私に問う。
謝らなくちゃ。
言わなくちゃ。
「……なんで私がここにいると思う?」
申し訳なさで眉を寄せて、前川さんに聞くと、彼女はキョトンとして「……?彼とあたしが…心配だったから…?」と言う。
そうだよ。
私は、2人が心配だったよ。
2人の距離が近付くのが、私は心配だったんだよ。
酷いんだよ、私って。
「……っ」
いつの間にか、食いしばっていた歯は更に私の下唇を締め付けた。
「な、なんで…っ…あなたがそんな苦しそうな顔するの…?」
前川さんは涙を抑えようと、目を擦りながら私に聞く。
「だって…私、最低なんだよ…!わ、私……」
“彰弥くんと…付き合ってるんだ…”
そう言うと、前川さんは目を見開いた。
ああ、言ってしまった…。
申し訳なさが……心の中に積もっていく。
「……前川さんのこと応援したいって…思ったのは本当なんだけど……」
本当なんだけど…何なんだろう。
言葉が詰まる。
何て伝えればいいんだろう?
何て言えばいいんだろう?
…このまま考えて話してたら、自分を擁護する言葉しか思い浮かばない。
考えないで、率直に話そう…―
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