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「私は…前川さんに頑張って欲しいとは思った。
でも、私……後々思った。
なんで応援しちゃったんだろうって。
私は彰弥くんと付き合ってて、何でか分からないけど前川さんの背中を押してしまった。
あなたの背中を押した後、後悔した。
彰弥くんが、私から離れちゃったら…どうしようって。
前川さんと元に戻ったら、どうしようって…。
…私がここに来た理由は、確かに2人が心配だった。
でも、その理由は……私から…彰弥くんが離れるかもしれないっていう不安からだった。
…ごめんなさい」
前川さんの方を向き、頭を下げた。
私は、前川さんの為を考えてここにきたわけじゃないんだよ。
ギュッと目を瞑り、謝る。
恨まれるのは間違いないと思う。
もしかしたら、叩かれるかもしれない。
…でも、そうなる覚悟はしてる。
「…別にいいわ、そんなこと」
前川さんの言葉に思わず、閉じていた目を開けた。
「…え?」
おずおずと顔を上げると、前川さんは深く溜め息を吐いた。
その溜め息を聞いた瞬間、チクりと胸に刺さる何か。
呆れられているのか、私は。
怒られた方が、まだいい…。
「…あなたの気持ちは、嘘じゃなかったんでしょう?」
前川さんの、溜め息を吐いた後の顔は怒ってる顔でもないけれど、呆れてる顔でも無かった。
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