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「嘘…？」
「…あなたがあたしに言ってくれた言葉は、全部嘘じゃなかったんでしょう？」
前川さんは、まっすぐ真剣な顔をして、私に聞く。
「…うん」
私は、前川さんを傷付けたけど、嘘は言ってない。
全部、全部、一瞬一瞬に出てきた私の気持ちを正直に彼女に伝えたはずだ。
私の言葉を聞いた途端、彼女は笑った。
「なら、いいの」と。
「…でも、私は前川さんの気持ちを…」
「いいって言ってるでしょ。あなたは、あたしにもう一回話す勇気をくれた。
あなたに会わなかったら、あたしは彼を許さなかったし、ずっと男の人を信じられないままだった。
でも、これからは新しい気持ちで歩ける。
人を信じられる。
人を好きになれる。
あなたが変えてくれたのよ」
その最後の言葉は、私の心の奥に染み渡り、視界が急にぼやけた。
「あはは、なんで二階堂さん泣いてるの？」
「…あ、ごめ…。
私、酷いことしたのに……そんな風に言ってくれるなんて…」
私が言った後、前川さんは首を傾げた。
「あなたが思ってるほど、酷いことじゃないわ。
あたしは、あなたが居てくれて良かったって思ってる」
そんなことを笑顔で言う前川さんがあまりにも輝いて見えて、私はまた涙を流してしまうんだ。
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