*+。会いたい。+*

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なんて、自分と戦っていると、すぐに時間が経ち、私は鶴を26羽も折っていた。 その代わり、空は夕暮れになっている。 「何だかんだ言って、ゴロゴロしながらも頑張ったなぁ」 ちょっと途中で寝ちゃったけど。 まあ、頑張ったよね。 折った鶴を、大事に掴み、丁寧に水色の箱に入れた。 「よし、また頑張ろう」 次に作業するのは、合コン終わった次の日かな…。 …はあ、思い出すだけで憂鬱だ…。 合コン面倒くさいなぁ。 今日が土曜日だから、後2日経ったら合コンだ。 あー、面倒だけど由衣が誘ってくれたんだし、行かないとね。 私に似合う素敵な男性を探してくれるんだっけ…。 「…私の中は彰弥くんでいっぱいだから、探してくれても意味ないんだけどな」 とりあえず、張り切ってる由衣が楽しめる程度には参加しよう…。 「…うん、そうしよう」 はあ、と肩の力を抜かし、折り紙の鶴が入った水色の箱を棚に置いた。 棚の隣りには、洋服が乱雑に置いてあり、自分に女子力の要素の欠片もないことを理解する。 「…たまには片付けようかな」 また、彰弥くんが遊びに来てくれるかもしれないし。 椿には、「なにこれ?泥棒入ったの?」とか言われるし。 片付けておいた方がいいよね。 洋服を適当にガッと掴み、ちょっと丁寧にちょっと雑に…という微妙なタッチで洋服を畳んでいった。 シャラン…― その時、私は気付かなかった。 彰弥くんから動物園の帰りに貰った可愛いクマのキーホルダーがカラーボックスの隙間に落ちてしまったことに。  
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