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私の言葉に彰弥くんは、優しい笑みを浮かべ、「…ただいま」と朗らかに応えてくれた。
「…へへへっ」
あー久しぶりだ。
彰弥くんの笑った顔が、眩しい。
私も思わず顔がにやけてしまうではないか。
「すみません。まさか迎えに来て頂けるとは思いませんでしたので。変なところをお見せしました」
彰弥くんが申し訳なさそうな顔をして謝ってきた。
「ううん、それは別にいいんだけど…。なんで15時くらいに着くって嘘ついたの?」
嘘つかれるなんて…なんかやましいことが彰弥くんにあるみたいで嫌だな。
「……彼女は前に付き合ってた方ですし、彼女と会うと言ったら蓮華もあまり…快く思わないのではないかと。それに、無駄な心配もさせたくなかったですし」
「…そっか、私のこと考えてくれたんだ。ありがとう…」
彰弥くんの気遣いは凄く嬉しいけど、逆に言ってくれない方が不安になったりする。
それをこの目の前の彼に伝えられたら、どんなにいいか…。
久しぶりに会ったのに、そんなことを言ったら、すぐに険悪な雰囲気になってしまいそうだ。
私は言いたかった言葉を、呑み込むことにした。
「…ここでは、ゆっくり出来ませんし、どこか入りますか?それとも久しぶりに俺の家来ます?」
私が自分の言葉を呑み込んでいる最中、彰弥くんは周りを見渡し、にっこり笑いかけてくれる。
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