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「あ、うん。じゃあ、そうしようかな」
どこかに寄るでもなく、彰弥くんの家に行くでもなく、私は曖昧な答え方をした。
「…では、行きましょうか」
彰弥くんがそう言って前を歩くから、私は小走りでついて行く。
どこに行くんだろう。
というか、彰弥くん荷物重そうだな。
私、ちょっと持ってあげようかな。両腕塞がってたら、歩きづらそうだし…。
「彰弥くん!私も荷物持つの手伝おうか!?」
何だか、面と向かって話すのが本当に久しぶりで……声をかけるのも緊張する。
「大丈夫ですよ。蓮華も荷物持ってるみたいですし、タクシー乗れば楽ですから」
「あ、ああ。そっか…」
私め!まさか、こんな時にプレゼントを持っているのが仇となるとは!
うぅ……。私って使えない…。
彰弥くんのために何かしたいのに、いっつも何もしてあげられないし…。
「蓮華、聞いてます?」
「え?は、はい?」
な、何も聞いてなかった!!
彰弥くんが訝しげな顔でこっち見てるよ!
私ってば、役に立たないどころか彰弥くんに不愉快な思いをさせるなんて!
あー、もう駄目だ。
「先程から、何か様子が変ですが……何かありましたか?」
「ううん、何でもないよ」
帰って来たばかりの彰弥くんに不愉快な思いはさせられない。
日本にいる間は、楽しい!やっぱりここが一番だ!って思ってもらわないと。
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