*+。知らない感情。+*

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「彰弥くん、私の家居るの嫌だったの?」 あまりにも分からなすぎて、直球で聞いてみた。 彰弥くんは私の言葉に「いいえ、違いますよ。そんなわけないじゃないですか」と言う。 嫌ではないんだ。 彰弥くんの言葉に安堵の息を吐くのと同時に、彰弥くんは溜め息を吐いた。 すぐさま彰弥くんを見ると、いつもと変わらない表情。 「???」 なぜ?なぜ?なぜ? 彰弥くん、なんか元気ないかも…。 元彼女をフったことを今後悔してるとか? そんなの困るよ…。 でも彰弥くんがやっぱり前川さんのこと好きだったら仕方ないのかな。 「…蓮華?」 「へ?」 不意に名前を呼ばれ、私は間抜けな声を出す。 「タクシー着きましたよ。乗りましょう」 「う、うん」 彰弥くん、もう疲れちゃったのかな…。 あ、時差とかあるからかな? 日本に住んでいたとはいえ、久しぶりに戻ってくると違和感を感じるはずだよね。 そうだよ…きっとそれで疲れてるんだ。 タクシーに乗り込み、自分が持っていた荷物をギュッと抱え込んだ。 このプレゼントで、少しでも元気になってくれるといいな…。 そんなことを願いながら、タクシーは霧山邸に到着する。 おお! 相も変わらず、お城みたいな外観に…圧倒される。 「…ひ、久しぶりに見たけど…やっぱりすごいね」 「そうですかね。 これで感動するんでしたら、向こうの家を見たら更に感動してしまいますね」 「…えぇ!?これよりもすごい家なの!?」 「それは、もう。綺麗なお家ばかりですよ」 彰弥くんが見る世界は、やっぱり私が見るものよりも格段違う。  
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