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「どうぞ楽にしてて下さい。今、コーヒーを淹れてきますので」
そう言って、扉に手をかけ、また部屋を出ようとする彰弥くん。
「あ!お構いなく。私、コーヒーいらな…」
「蓮華はアイスココアですね。待ってて下さい」
私の言葉を遮り、彰弥くんがにこりと笑う。
「うん!」
分かってくれるって嬉しい。
何だか……いつもの光景みたいに思える。
「では、ソファにでも座っていて下さい」
「うん、ありがとう」
彰弥くんの広々とした部屋を久しぶりに見た私は、首をきょろきょろと動かし、部屋を見渡した。
本がぎっしり詰まっている棚。
壁には、額縁がかけられていて芸術的な絵が飾られている。
「……いつ見ても綺麗な部屋だなぁ」
彰弥くんが不在の時もきちんと掃除されていたのが分かる。
…部屋の中に感心していると、コンコンと扉を叩く音が聞こえ、両手が塞がって扉が開けられない彰弥くんだろうと思い、「はーい、今開けます」と扉を開けた。
扉の向こうは、両手が塞がって困っている彰弥くんではなくて、可愛らしい容姿の屋敷のメイドさん。
真由奈さんだ。
「ま、真由奈さん!」
「蓮華様、お久しぶりです!お元気でしたか?」
可愛い笑みを浮かべ、彼女は私に抱き付いた。
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