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何故だろうか。
いつもの彰弥くんじゃないみたいだ。
いつもなら、私と真由奈さんが話す時間に制限をつけてくるはず。
それが、今日は自分から真由奈さんを誘い、侑弥くんまで呼ぼうと言い出した。
今日は平日だから、侑弥くんは確かまだ大学にいるはずなのに。
そして、彰弥くんのこの表情。
なんか異常なモヤモヤが私を襲う。
チラリと横にいる彰弥くんを見やると、たまたま彰弥くんもこちらを見ていたのか目が合った。
彰弥くんはにっこりと笑いかけてくれる。
その笑顔はいつもと変わらない…はず。
変わらないのだけれど……この胸に詰まる感覚はなんなのかな?
…さっきから、私と居ることが嫌そうに見えて仕方ない。
私の思い違い?勘違い?
それなら、そうと安心したい。
安心できる確信が欲しい。
私の家にいた時と同じような感じ。
聞きたいのに、何か変な空気になりそうで聞けない。
「…何をボーっとしてるんです?」
私の頭の中の悩みを、まったく知らないように彰弥くんはサラッと言う。
まあ、まったく知らないのだけれど。
「あ、ううん。何でもないよ」
彰弥くんの考えていることが分からなくて悩んでました、なんて口が裂けても言えない。
私は、いまだに手にずっと握っていた紙袋のヒモをギュッと一層強く握った。
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