*+。知らない感情。+*

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彰弥くんにしては、珍しくハッキリしない言葉。 聞いてる私が怖くなる。 「そういう感情…?」 そういう感情…自体がよく分からない。 心の中がズキズキして、仕方ない。 私がワガママ過ぎたのかな?だから、愛想が尽きた? だったら、さっき抱き締められたのは何だったんだろう。 頭の中に疑問が浮かんではことごとく消える。 「その……正直にお話したら、俺のこと避けたりしませんか?」 「避けるわけないよ!どんなことを言ったって、彰弥くんは彰弥くんだよ。 絶対に避けない。私、鈍くさいから避けられないよ」 あはは、と笑って言ってみせると…彰弥くんは少し柔らかい表情を私に向けてくれた。 その優しい表情に、少し自分の頬が火照るのが分かる。 「蓮華。実は…」 「うん」 「貴方に触れたくて仕方がありません。 蓮華の家に居て、2人っきりだと知った瞬間、もう……そういう感情が出て来てしまって。 今だって、蓮華と2人っきり……。 俺、どうすればいいんでしょうか?」 ええ!そんな弱った顔で見つめられても…! 一気に自分の顔が赤くなるのが分かる。 なに、これ! 今、彰弥くんをギューッとしたい。 なんか胸に熱い何かが込み上げてくる。 ギューッてしたい。 私も……同じだよ。 「わ、私も…!」 「…?」 「私も同じだよ…! 私も…さ、触りたい」 言った瞬間、もう気がおかしくなってくる。 さ、触りたいって何だ! なんか言い方が厭らしいぞ私! ああ……彰弥くんが直視できない。  
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