*+。会いたい。+*

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走って、外に出て、バスに乗り込む。 行き先は、街の『サバンナの木』っていう居酒屋さん。 バスの2人用の座席に腰掛け、私は由衣をジーッと見つめた。 「…な、なによ?」 すると居たたまれないような表情で、由衣も私をジーッと見てきた。 「いや、なんか今日はいつもより可愛いなぁ…って思って」 「当たり前じゃん!合コンよ?可愛い格好しなきゃ意味ないじゃん。 言っておくけど、今日の蓮華の格好は正直合コン向けじゃないわ! もっと気合い入れなきゃ!」 由衣がバックに炎を纏っているかのように、気合い充分だと言い放つ。 私は別に合コン行く気じゃなかったし…そんなにこだわらないんだけどな…。 「そんなんじゃダメ!合コンは戦!服装と顔でどういうタイプか分かるのよ」 「別に戦に参加する気なんてないよ。私はただ単純に由衣と楽しみたくて」 「あたしと楽しむ!?いくら元カレが素っ気なくて、自然消滅したからって、女の子に走るのは…ちょっと…」 「違うってば! 自然消滅してないし、女の子にも変な気は持ってないよ」 「じゃあ、さっきのはどういう意味?」 「由衣が合コン楽しみにしてたから、由衣に楽しんでもらえたら私はそれでいいって思ったの。 私のことは気にしないで、自分の好きな人探しなよ」 「……蓮華」 由衣は感動したみたいで、目を潤ませて私を見ている。 正直、新しい人探されても困るし…。 彰弥くんの代わりなんて、誰もいないんだからさ。  
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