*+。会いたい。+*

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由衣とバスに乗りながら色々話してる間に、目的の場所に近いバス停に着いた。 バスから降り、由衣は念入りに鏡を覗き込む。 「だ、大丈夫だよ。そんなに見なくても変わらず可愛いよ」 「…まぁね。ただ、いつもより可愛くないと困るの」 「なんで?」 「だから合コンだからよ!蓮華も笑顔の練習して。はい、笑って」 そう言われたから、ニッと笑ってみせた。 「ぶふっ…!!あははは!!ヤバいって!変顔大賞に出れるわ!それ!」 無理矢理笑うと、変顔大賞に出れる程に変な顔らしい。 「そんなに変?」 「マジうける! って笑わせないで!メイク落ちるじゃん」 笑ったり怒ったり、由衣も顔が動くのが激しい。 フーッと息を整えた由衣が、カツカツとヒールが高い靴を鳴らす。 「ま、待ってよ!」 さっきまで笑ってたかと思えば、真面目に歩き出すし……よく分からないな。 由衣を追いかけ、一緒に歩いていると、由衣がある場所でピタッと止まる。 「着いたわ」 「…ここかぁ」 ここが今日の夕飯を食べる場所なんだ。 表にメニュー表が置かれてるけど、写真を見る限りでは美味しそう。 メニュー表をジーッと眺めていると、「ごめ~ん、遅れたー」という可愛らしい女の子の声が聞こえてきた。 「いいよー!あたし達も今来たからさー」 由衣がそれに返事をする。 ってことは………。 バッと顔を上げ、女の子を見た。 くりんくりんの明るい茶色の長髪に、ぱっちりとした瞳。 たらこ唇みたいだけど、ぷっくりとグロスを塗っている唇は、決して天ぷらを食べたからテカテカしているんだ、と思えない。 か、可愛いぃ!  
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