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「蓮華のことだったら、そのくらい手に取るように分かりますよ」
そう言って、彰弥くんはクソまずいクッキーをまた1つかじった。
「ありがとう。でも、私も責任持って食べるよ」
そう言って、クッキーの袋に手を伸ばすと、また袋を遠ざけられる。
…?
一緒に食べようって言ってるのに。
「わ、私にもちょうだ…」
そう言いかけた時だった。
バンッという大きな音が聞こえ、音のした方に振り向く。
何か物が落ちたのかな?なんて思いながら振り向くと、音がしたところには侑弥くんがいた。
「彰弥っ!お前、いつ帰ってきたんだよ!」
部屋中に響き渡るくらい大きな声が聞こえ、思わず耳を塞ぎたくなる。
「…ゆ、侑弥くん。どうしたの?」
ビックリしすぎて声を震わせて聞くと、侑弥くんは「お前もここに居やがったのか!」と私に視線を移した。
「う、うん…。いたけど」
「彰弥!お前、まさか帰ってきて早々蓮華に変なこととかしてねぇよな!?」
侑弥くんが彰弥くんを真っすぐ見て聞く。
「してませんけど。侑弥が邪魔しに来なければ良かったのに、と心から思ってます」
サラリと笑みを向けながら言い放つ彰弥くんに、侑弥くんはイラッとした顔。
久しぶりに会ったのに、毎日やっているような兄弟喧嘩だ。
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