*+。知らない感情。+*

29/39
前へ
/430ページ
次へ
「蓮華のことだったら、そのくらい手に取るように分かりますよ」 そう言って、彰弥くんはクソまずいクッキーをまた1つかじった。 「ありがとう。でも、私も責任持って食べるよ」 そう言って、クッキーの袋に手を伸ばすと、また袋を遠ざけられる。 …? 一緒に食べようって言ってるのに。 「わ、私にもちょうだ…」 そう言いかけた時だった。 バンッという大きな音が聞こえ、音のした方に振り向く。 何か物が落ちたのかな?なんて思いながら振り向くと、音がしたところには侑弥くんがいた。 「彰弥っ!お前、いつ帰ってきたんだよ!」 部屋中に響き渡るくらい大きな声が聞こえ、思わず耳を塞ぎたくなる。 「…ゆ、侑弥くん。どうしたの?」 ビックリしすぎて声を震わせて聞くと、侑弥くんは「お前もここに居やがったのか!」と私に視線を移した。 「う、うん…。いたけど」 「彰弥!お前、まさか帰ってきて早々蓮華に変なこととかしてねぇよな!?」 侑弥くんが彰弥くんを真っすぐ見て聞く。 「してませんけど。侑弥が邪魔しに来なければ良かったのに、と心から思ってます」 サラリと笑みを向けながら言い放つ彰弥くんに、侑弥くんはイラッとした顔。 久しぶりに会ったのに、毎日やっているような兄弟喧嘩だ。  
/430ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2795人が本棚に入れています
本棚に追加