*+。知らない感情。+*

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「うるせー!! てめぇ!いつ帰ってくるって聞いても連絡も寄越さねーし!今日執事に聞かされて知った俺の身にもなれ!」 侑弥くんは息継ぎしていないんじゃないかってくらい早口でまくし立てる。 「へえ、そんなに俺が帰ってくるのを知りたかったんですか?」 「…っ…!」 彰弥くんの言葉に、侑弥くんは言葉を詰まらせた。 「理由は?もしかして、俺がいなくて寂しかったから早く会いたかったとか…」 「んなわけねぇだろ!お前が帰ってこない内に、蓮華と一緒に遊んで楽しく過ごそうと思っただけだ!ばーか!」 なんて素直じゃないんだ、侑弥くん。 本当は彰弥くんに会いたかったくせに。迎えに行きたかったのかな。 「へえ、それはそれは。いかがわしいことを考えていたのは侑弥じゃありませんか? 俺が不在中に蓮華に手を出そうとするなんて、無駄なことを」 彰弥くんは、いつも通りの爽やかな笑顔を浮かべている。 「は?そんなの蓮華じゃねぇと分かんねーだろ!」 本当に侑弥くんは、彰弥くんが帰ってきて嬉しいんだろうな。 早く会いたかったんだろうな。 クリスピタヌキたちの仲間に居る寂しがり屋だけど強気な黒ウサギみたい。 「ああ、もう!蓮華!彰弥なんて置いて、どっか行くぞ」 侑弥くんが頬を染めて言うから、これまた彰弥くんへの照れ隠しが…。 「侑弥くんって可愛いね」 素直じゃないけど、本当は彰弥くんが大好きなんだ。 可愛いなぁ。 つい思ったことが口からポロリと出た。 その発言が厄介な元凶になることも知らずに。  
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