*+。知らない感情。+*

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走って、侑弥くんを追いかけようと思ったけど、部屋を出たらまるで迷路。 しかも、先程居なくなった侑弥くんの姿はやっぱり無かった。 「……な、なんかこのまま戻るのも恥ずかしいなぁ」 しばらくここの通路の近場を歩き回って…戻ろ……。 侑弥くん……どこ行っちゃったんだろう。 彰弥くんの部屋から離れ、あてもなくフラフラと歩きさ迷った。 迷路だ、本当に迷路。 この屋敷で、迷路ゲームや探検ゲームなどの商売をしたら儲かるんじゃないか? 「………あれ、歩きすぎた?」 うわぁ……もう迷子だ私。 確実に帰り道が分からない、断言できる。 もうとうとう帰り道も分からなくなった時、聞きやすく綺麗な声が私の耳に飛び込んできた。 「蓮華様…?ここで何してらっしゃるんですか?」 ああ……この声は、間違いもしない。 ここで困った時、助けに来てくれる私の天使…―! 「真由奈さんん…!!」 声の方に振り向くと、苦笑いしているけど、優しい表情の真由奈さんがいた。 「ま、真由奈さん…!ここ、どこですか?道に迷っちゃって」 半べそで真由奈さんに訪ねると、彼女は真剣に私に応えてくれる。 「蓮華様は、どうしてここまでいらしたんですか?どこかお探しですか?」 「ゆ、侑弥くん探してたんだけど…なんか訳が分からなくなってしまって……。フラフラ歩いてたら、ここまで来てしまって…帰り道が分からないんです」 あれ? 侑弥くんの名前を出したら、真由奈さんは一瞬眉をピクッと…動かした気がした。  
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