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「…た、ただいま」
怒ってますオーラは何となく伝わるけど、ここで下手に何かを言って喧嘩になることは避けたい。
普通に彰弥くんに言うと、彰弥くんはシレッとした表情で「おかえりなさい」と言った。
「…………」
ま、まったく読み取れないいぃ!
確かに勝手に飛び出した私が悪いさ!悪いのは自分でも分かるけど、どう切り出したらいいの、これ!?
「…クッキーは?」
彰弥くんの言葉に、私は少し怯みながらも、右手を上にあげた。
クッキーの袋を見せると、彰弥くんは「……ふぅ」と小さく溜め息を吐く。
ああ、これは完璧に怒ってるな…。
「…ごめんなさい…。私…だったら、クソまずいクッキーだとしても……1コは自分も貰いたいと思ったから……侑弥くんにあげてきた…」
まだ袋には、クソまずいクッキーが何個か入ってる。
「……別に構いませんよ、それは」
彰弥くんが呆れたような瞳を私に向けて言う。
「え?じゃあ、なんで…」
なんでそんなに機嫌悪そうなの?
と聞きたかったけど、喧嘩になりそうだからヤメた。
咄嗟に口を噤むと、私が言いたかったことが分かったのか、彰弥くんは「それはですね…」と長い睫毛を伏せめがちにしている。
「あなたが侑弥を追いかけたのが気に食わないんです」
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