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「…ごめん」
「謝って済んだら、蓮華はいらないんですよ」
「ええ!?どういうこと!?」
彰弥くんは、「とりあえず中に入りましょう」と再度私を部屋に入れてくれた。
ソファにまた座り直す私に対して、彰弥くんは座らずに立っていた。
よし、彰弥くんに説明したら理解してくれるはずだ。
「彰弥くん、ちょっと先に聞いて欲しいんだけど、いい?」
「はい」
彰弥くんは、まだ冷めた瞳を私に向けていた。
うぅ……負けそうだ。オーラからして負けそうだ。
「よく義貴先輩が家に遊びに来るんだけど」
「俺がいない間に、他の異性と遊びすぎじゃありませんか」
「い、いや!そうじゃなくて!!義貴先輩が私のために遊びに来るわけないよ!
椿だよ!」
「ああ、そうでしたか」
彰弥くんの声のトーンがいつもより少し怖い気がする。
「…その時に椿にケーキ買ってきてくれたりするんだよね。
私も家にいるんだけど、私にも買ってきてくれるんだ。
それがすごい嬉しくて…。
私のことも考えてくれてるんだって思って」
私の分も義貴先輩が当たり前のように買ってくれたことが何だか嬉しかった。
『お前も食いたいだろ?』
なんて言って。
そこまでの流れを彰弥くんに話して、チラッと目線を上げてみると……
更にどす黒いオーラを放っている気がした。
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