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彰弥くんと温泉旅行のプランでワイワイと盛り上がり、時間は刻々と過ぎていった。
「それで、椿がその洗面台で…」
温泉の話は飛びに飛んで、椿と洗面台の間で起こった事件について話し合っていると、不意に時計が見えた。
「あ、もう19時なんだね」
時刻は19時を少し過ぎていた。
通りでお腹が減るわけだ。
「そろそろ夕食の時間ですね」
彰弥くんがにっこりと笑ってソファから立ち上がるから、私も慌てて立ち上がった。
「蓮華は立たなくていいですよ。夕食は何にしましょうか?」
「んー、何でもいいよ」
「では、先程蓮華にメールを下さった望月さんとお食事をするのは如何でしょうか?」
彰弥くんは閃いたと言わんばかりの表情で、私に笑みを向ける。
「いきなりすぎるよ。私は構わないけど、望月さんも関谷さんも予定が入ってるんじゃないかな?」
「案外ヒマかもしれませんよ。とりあえず、連絡を取ってみて下さい」
やけに彰弥くんが積極的だ。
普段なら、私の知り合いに会おうが会うまいが、どうでもいい感じなのに。
今日に限って積極的。
彰弥くんの言葉に返事をし、望月さんに電話をしてみた。
プルルルル…―と聞き慣れた機械音が耳の中で響き、繋がらないから切ろうかと思った時、眠そうな声が携帯のスピーカーから聞こえた。
「はい…」
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