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「もう、その望月さんっていう方に会わなくてもいいような気がしてきました」
彰弥くんが機嫌良さそうに言うから、「え?なんで?」と聞き返した。
「蓮華に興味なさそうだからです」
「……なんか、悲しくなるんだけど」
彰弥くんはご機嫌で言うけど、それを聞いた私は普通に悲しいんだけど。
そんなことを思っていると、携帯のバイブが震え、慌てながら受話ボタンを押した。
「はい、もしもし!」
「…俺、望月だけど。関谷行くっつーから…行くわ」
「あ、ありがとうございます!私の…か、彼氏もいますので!よ、宜しくお願いします!」
「マジか。分かった」
それから望月さんとどこのお店で会うか約束して、電話を切った。
「では、お約束したお店に行きますか」
「うん」
彰弥くんの家なのに、廊下に出た途端、手がフッと触れる。
繋がれた手を見て、彰弥くんを見上げると、優しく微笑んでいた。
あぁ、幸せだ。
こんな些細なことで幸せな気持ちになれる。
彰弥くんが、帰ってきてくれて良かった。
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