*+。会いたい。+*

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「じゃあ、次は女の子どうぞ」 沢木さんの言葉で、由衣が先陣を切ることにした。 「田村 由衣ですー!沢木さんには、いつもお世話になってます。 宜しくお願いしまーす」 いつもの倍の愛想を振り撒く由衣。 みんな、そんな由衣を見て、笑顔を浮かべる。 望月さんと私以外。 「ほら、次蓮華だよ」 由衣が優しく教えてくれ、私は恐る恐る頷いた。 一気にみんなの視線が私に集まり、私の頬に熱が集まる。 む、無理…―! さっきまで平気だったのに、みんなに見られると緊張してきちゃった…! 私が目を瞑って葛藤していると、隣りから明るい由衣の声が聞こえた。 「こ、この子は、あたしと同じ仕事場の1コ先輩。 二階堂 蓮華。今年で20歳になります。緊張しやすいんだけど、良い子だから、皆さん宜しくー」 あ、由衣…。 私の代わりに…紹介してくれた…。 うぅ、ありがとう…。 自分の情けなさに、軽く出た涙を拭っていると、前川さんが口を開いた。 「前川 美里です。私も二階堂さんと同じ年です。もう誕生日が来ちゃったから、20歳です。宜しくお願いします」 ああ、前川さんもキッチリ言えてる…。 私だけ、緊張して何も言えないなんて…。恥ずかしい……。 シュンとしていると、どこからか視線を感じ、顔を上げた。 上げた瞬間、望月さんとバチッと目が合う。 な、なに?さっきも目合ったけど…私の顔に何か付いてるの? よく分からないけど、負けないぞ! 私も望月さんの顔をジーッと見つめ返した。 望月さんも負けじと私を見ている。  
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