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「俺の隣りじゃないと、おかしいでしょう」
にっこり笑う彰弥くんに、私は目をパチパチと瞬かせた。
「彰弥くんが運転するの!?運転手さんが運転してくれるのかと思ってた…!」
「運転手さんは今日はお休みです。俺だって、運転免許持ってますから」
「そうなんだ、すごいね」
「すごいねって、蓮華も持ってるでしょう?」
「持ってるけど、取った日からペーパードライバーとして名を上げてるよ!」
「そんなことで威張らないで下さい」
高校生の時、彰弥くんにはお抱えの運転手さんがいたから、てっきり今回もその人が運転してくれるのかと思ってた。
でも、そうだよね。
彰弥くんだって、免許あるんだもん。
もう自分で色んなところ行けるんだ。
運転手さんがいる流れで、後部座席に乗っちゃった私って、相当送り迎えされる身分に慣れちゃったんだな。
気を付けないと。
「…あれ?蓮華」
「…なに?」
彰弥くんが私の名前を呼ぶから、外の風景から目を離し、彰弥くんを見た。
彰弥くんは、どこか下を見てるようにみえる…。
私もつられて、下を見た。
何もない。
「どこ見てるの?」
「…す、すみません。それ、短すぎませんか?」
彰弥くんが言いづらそうに言うから、私は再度下を見た。
あ、この前椿と見て一緒に買ったワンピースだ。
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