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「そ、そうかな。やっぱりそうだよね。私もそうは思ったんだけど、椿が選んでくれたから着ないと勿体無いなぁ…なんて生意気にも思っちゃいました………あはは、すみません…」
直視して言われると、気にしないでワンピースを着ていこうと思った私の気持ちが折れる。
何だか自分のみっともない姿を見せてしまったみたいで申し訳ない。
「…………」
「いやぁ、似合わないのは分かってたんだけど、ちょっとたまには……なんて思って、あははは…」
もう彰弥くんは無言だ!
頭をボリボリ掻きながら、笑って謝ることしか出来ない私に、どうしろって言うの!
「…………」
「いや、もう……なんか、本当すみません…。なんか、もう着替えよっかなぁ、私……」
何も発してくれない彰弥くんに、涙が出そうだよ…。
こんな可愛い短いワンピース、私が似合うわけないのに…。
調子に乗って着てきたのが悪かったなぁ。
小さく溜め息を吐き、短いワンピースの裾を睨んだ。
出だしから失敗か……。
もはや反省会を自分の頭の中でしていると、車が止まるのが分かった。
着替えさせに行かしてくれるのかな…。
そのいつもの優しさが今日は痛いくらい残酷だよ、彰弥くん……。
下を見ていると、視界にいきなり何かが過ぎる。
「……わっ…!!」
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