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「しょ、彰弥くん…!?」
急に彰弥くんが、私の首に両腕を回してきた。
視界に入ったのは、彰弥くんが着ている黒の長袖Tシャツだ。
も、もしかして……私同情されてる…?
彰弥くんが抱き締めたくなるほど、可哀想な人に見られてる…?
ど、同情されてるのは悲しいけど……不謹慎にもこの状況に、私の心臓は激しく暴れ出している。
予想もしていない…ましてや落ち込んでいた時に急に抱き締められると、普段の倍は鼻息と心臓の鼓動が荒くなる。
「しょ、彰弥く……。私はもう大丈夫だから…」
「少し待って下さい。もう少しだけ……このまま…」
な、なんで…!?
同情ハグをされてる私の身にもなって!
心臓が大変なんだよ!?
鼻息が大変なんだよ!?
「…彰弥くん。あの、私…結構大変なことになっちゃってるから…(鼻息と心臓が)」
「…そんなの俺もですよ…だから、もう少し落ち着かせて下さい…(気持ち的な意味で)」
ええぇ!?
彰弥くんも鼻息と心臓が!?
そうかなぁ?彰弥くん、顔が私の顔の横にあるけど、鼻息荒く聞こえないけど…。
しばらく無言でギュッと抱き締められていると、ようやく彰弥くんが口を開いた。
「…すみません、蓮華」
そう言って、彰弥くんがゆっくりと私から離れる。
「い、い、いいえ…!!」
この逃げ場のない状況……なんか変に緊張する…!
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