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もう何十分経っただろうか……。
クリスピタヌキは、ポジションは微妙にズレているものの、一向に落ちそうな気配はない。
「蓮華」
「はい?」
「申し訳ないんですが、お金両替して来て頂けませんか?」
彰弥くんがお財布から1万円を取り出し、私にくれた。
「え!?まだやるの!?」
「せっかくここまでやったのに勿体無いです。どうせなら落とします」
彰弥くんが珍しく燃えている。
そっか……。
彰弥くんも可愛いところあるなぁ。
両替をしに行きながら、口元がにやけてしまう。
そんなにクリスピタヌキのぬいぐるみ、欲しかったんだ…。
確かにこのぬいぐるみ可愛いもんね。男の子でも欲しくなっちゃうよね。
それにしても、あんなに頑張るなんて、相当クリスピタヌキにハマったんだなぁ。
「はい、彰弥くん」
「あ、ありがとうございます」
彰弥くんに両替したお金を渡し、彰弥くんが成功する瞬間を隣りで願った。
「お、落ちたああぁ!!!」
刻々と時間が過ぎていく中、クリスピタヌキがようやく外の世界に飛び出たのだ。
彰弥くん以上に、クリスピタヌキゲットを大きな声で喜んでしまった。
すごい嬉しい!!!
「良かったね!!彰弥くん!良かったね!!」
一体いくらのお金と、どれくらいの時間をかけたのかは、あまり考えずに喜ぼう!!
惜しい気持ちより感動の方が勝るに決まってる!!
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