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クリスピタヌキのぬいぐるみを持った彰弥くんは、あまりに可愛らしくて写メを撮りたくなる衝動に駆られた。
「かなり苦戦しました。蓮華、長い時間お待たせしてしまいすみません」
「全然。気にしないで!私も見てて楽しかったよ!良かったね!!」
くそぉ、クリスピタヌキ可愛いなぁ。
私もUFOキャッチャー挑戦しようかな。
ジーッとUFOキャッチャーの中のクリスピタヌキたちを見つめていると、「蓮華はウサギさんの方が好きですか?」と遠慮がちに聞いてくる彰弥くんの声が聞こえた。
「ううん、私はクリスピタヌキが一番好きだよ。二番がアーモンドキツネで三番がシロップウサギかな」
「良かった」
不意に安堵の声が聞こえ、彰弥くんの方を振り向いた。
「え?」
その瞬間、視界は抹茶色が広がる。
「蓮華にプレゼントです。可愛がってあげて下さい」
彰弥くんから押し付けられたのは、クリスピタヌキ。
私の腕の中には、クリスピタヌキがいる。
片手でギリギリ持てるくらいの、案外大きなクリスピタヌキ。
「う、受け取れないよ。彰弥くんもクリスピタヌキ好きなんでしょ?あんなに頑張って取っていたのに!」
彰弥くんに返そうとしたけど、受け取ってくれやしない。
「クリスピタヌキは好きですよ」
「じゃあ、やっぱり受け取れないよ」
「何故好きだか知ってます?」
「知らないけど…」
「蓮華に似てるから好きなんです」
笑顔で言う彰弥くん。
ああ、本当に……叶わない。
真っ赤になった私の顔、どうしてくれる?
というより、それ以前にタヌキに似てるって言われて、喜んでる私って……どうなんだろう。
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