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数分後、唇を離すと……もう私は息を切らしていて、すごく…すごく唇が熱い。
彰弥くんはハッとしたかのように、私から離れるけど……私は身体に力が入らなくて…起き上がれなかった。
「すみません、蓮華。本当にすみません!!」
私に何度も謝り、彰弥くんはゆっくり私の身体を起こしてくれた。
何か…言ってあげたい…。大丈夫だよ、気にしないでって…言ってあげたい…。
すごく申し訳なさそうに謝る彰弥くん。
安心させてあげたいのに…思うように言葉が出てこない。
「だ……いじょぶ」
このじわじわと何かがクる感覚が、気持ちいいのか…気持ち悪いのか分からない。
ただ、自分が自分じゃ無くなりそうで……。
「蓮華……本当にすみません。俺、我を忘れて…」
「…き、気にしないで…?大丈夫…」
自分に言ってるのか彰弥くんに言ってるのか、分からないけど…とりあえず落ち着こう。
震える唇でスーハー…と浅く吐いたり吸ったりを繰り返した。
落ち着け、落ち着け私。
落ち着く………
コンコンコン…ッ―
戸を叩く音が聞こえ、「はい、どうぞ」と彰弥くんが私を隠すように戸の前に立ち、返事をした。
旅館の方かな?
夕食の支度とかかな?
彰弥くんが返事をしたと同時にガラリと戸が開いた。
「しょーちゃん!!会いに来たぞ~!!」
大きな声と共に現れたのは、小柄な青年。
隣りには、スレンダーな女性だ。
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