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「早乙女くん…戻らない?彰弥くん達待ってるよ」
何故か手を引かれ、着いた場所は景色が綺麗に見えるベランダみたいな場所。
早乙女くんは、私の言葉にまったく耳を貸さず、無言で柵に寄りかかり、景色を見出した。
「……早乙女くん?」
「ちょっとこのまま…景色見せて」
問いかけに返事した早乙女くんの表情は読み取れないけど、何だか悲しそうな…声色だ。
「悩みあるんだったら、相談に乗るよ?」
私が聞いて、解決できる問題だったら、他の人が既に解決してると思うけど……聞くくらいだったら私も力になれる。
「…別に。あんたには、関係ないよ。あるっちゃあるけど」
「…その中途半端に濁すのヤメてもらえないかな?」
私も一応関係はしてるんだろうか…。
早乙女くんの言葉に、眉間に皺を寄らせて自分が早乙女くんに何かしたか思い出そうとしてみるが、なかなか心当たりがつかめない。
「…ごめんなさい。よく分からないんですが」
「だろうね。しょーちゃんと一緒に居て、幸せボケしてるんだもんなぁー」
酷い言い草だけど、否定できないから何とも言えない。
「彰弥くんと一緒にいれるのは、やっぱり幸せだよ」
なかなか会えないから、会える時はスゴく嬉しい。
それを口にすると、早乙女くんは可愛い顔を歪ませた。
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