*+。早乙女くん。+*

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「言っておくけど、しょーちゃんはモテるよ」 早乙女くんがそう言うから、「それは知ってるよ」と告げる。 すると、更に早乙女くんは渋い顔をした。 何がそんなに気に食わないんだってくらい、渋い。 「へえ」 早乙女くんはそう言って、フェンスに肘を乗せ、手のひらに顎を乗っけている。 可愛い顔の人がシュールに景色を眺めているって、すごい違和感。 「じゃあ、これは知ってるかなぁ」 独り言のように早乙女くんが呟いた。 「なに?」 とりあえず、早乙女くんの言葉に耳を貸そう。 「佐山とデキてるよ」 「ああ。早乙女くんが?」 そう問うと、早乙女くんは左右に首を振る。 そして、言おうか言うまいか悩む素振りを見せ、口を開いたり閉じたりを繰り返している。 え!?なに!? そうされると気になるんだけど!! もう戸惑いなく言っちゃって!! 「いいよ!気になるから言っちゃって!」 私がそう促すと、早乙女くんは言いづらそうに口を開いた。 その言葉を聞いた瞬間、聞かなきゃ良かった…と後悔することになるとも知らずに。 「しょーちゃんと佐山がデキてる……かもしれないんだ」  
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