*+。早乙女くん。+*

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走って、走って、彰弥くんの声が遠くなるくらい走って。 息を切らしながら、早乙女くんと佐山さんが取った部屋に入った。 部屋の広さは、彰弥くんが取った部屋よりも少し狭くて、何だか居心地が悪い。 座って、と言われたから、とりあえず座布団に腰を下ろした。 座布団に座ると、何故か隣りに早乙女くんがストンと座る。 隣りが彰弥くんだったら、狭くて居心地が悪いなんて感じないのに。 別の人だから、変な感じなんだ。 何はともあれ、会うのが気まずい彰弥くんから、逃げられることができた。 心の準備が出来てない時に会うと、自分の口から何を言ってしまうのか分からない。 「早乙女くん、ありがとうね。今彰弥くんに会ったら、私どうするか分からなかったから」 俯いてお礼を言うと、早乙女くんは「いいえ~」と間延びした返事を返した。 「しょーちゃんは俺の友達だからね。二階堂さんがしょーちゃんに殴りかかったら、困っちゃうよ」 「あはは、私もそこまでしないよ」 早乙女くんもきっと……あの2人に取り残された気持ちになっているんだろう。 私も、その気持ちは痛いくらいに分かる。 寂しくて、悲しい。 疎外感…―。  
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