*+。早乙女くん。+*

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「ちょ…ちょっと…やめて!」 顔を思いっきり早乙女くんから逸らし、言い捨てる。 でも早乙女くんは私の声なんか聞こえてないみたいで、私に徐々に唇を近付けてきた。 それと同時に、早乙女くんの体重が私にのし掛かってきて、押し倒されてしまった。 い、嫌だ…! 絶対に無理…―! 彰弥くん…!助けて…―!! 早乙女くんは小柄だけど…やっぱり男の子で、私の力じゃ動いてくれない。 「…さ、早乙女くん…ヤメようよ…お願い…っ…」 少しでも動いたら、唇がぶつかりそうで怖い。 ギュッと目を瞑り、何も自分の瞳に映らないようにした。 もう…ヤだ………っ…。 ツー…ッと何かが頬を伝う。 あぁ…涙だ……。 でも、これは…私の涙じゃ…ない……? 目を微かに開くと、目の前にはやっぱり早乙女くんがいて…。 避けてはいなくて…。 さっきと変わらない早乙女くんなのに、彼の頬には微かに光るものが見えた。 それは、どんな人でも一度は出してしまうもの。 感情が高ぶった時に出るもの。 なんで…? なんで、早乙女くんが泣いてるの…―?  
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