*+。早乙女くん。+*

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「わ、私のせいって…どういうこと…?」 背中を向け、涙を拭っている早乙女くんに、私は眉間に皺を寄せた。 「………お、お前が…っ、悪いんだからなぁ…」 目を擦り、振り向いて早乙女くんは睨んでくる。 「……………?」 何か早乙女くんにしたかと聞かれれば、まったく身に覚えがない。 何か言ったら、更に早乙女くんを追い詰めてしまいそうで、何も言えなかった。 自分は分からないのに、私のせいだと言われる。 分からなさすぎて、逆に私が泣きたいくらい…。 「お前がしょーちゃんの恋人だから…っ…」 「…え?」 私が彰弥くんの恋人だから…? あ、そういうことか…。 何となく、早乙女くんが私にキスをしようとした理由が分かった気がする。 早乙女くんは、佐山さんが好きなんだ…。 でも、佐山さんは彰弥くんが好き。 だから……多分、私と彰弥くんを別れさせようとして…佐山さんは彰弥くんにキスを。 それで、早乙女くんは私にしようとしたんだ……。 早乙女くん……佐山さんのために…涙が出るくらい嫌なことをしたんだ。 自分で考えて、悲しくなってきた…。 「…早乙女くん…もしかして…佐山さんのこと好…」 「はっ!?違うし!!!有り得ないんだけど…!!!」 「えぇ!!?」 緊張感を持って聞いた私の言葉は、早乙女くんの速攻否定の言葉によって遮られた。  
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