*+。ボク、オレ。+*

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高校2年生。 月曜日の夜7時10分のバス。 街から少し離れた道路沿いにあるバス停。 僕は、この曜日のこの時間帯、この場所が毎日待ち遠しくて仕方なかった。 『……うぁ…あちぃ』 夜なのに、カエルやらの虫の音が凄まじい。 そして、このムワ~ンとした空気。 気持ち悪くて仕方ない。 この時間帯、僕がいつもバスを待っている場所は、乗る人が少ない。 だから、あまりの暑さに汗が流れていても、気にしなくて済むから、まだ少し楽だ。 バイト帰りに、このバス停に立つ。 すると、僕より数分後にあの人がやってくる。 『………ふぅ、あっつ…』 僕と同じようなことを言って、あの人は僕の隣りに立つ。 人が2人くらい間に入れる距離なのに、すごく…緊張した。 隣りにいるのは“彼”。 爽やかな短髪に、産まれてから染めたことないであろう黒髪。 会社員なのか、黒いスーツ。 僕より少し高い身長。 彼を見たいのに、横を向けない。 目があったら、緊張が走って、変な言葉が飛び出てきそうだったから。 別に話さなくたっていい。 隣りでこうやって…立っていられれば…。 っていうか僕、なんでこの人のこと気になってんの? 別に緊張なんかしなくていいじゃん。 この曜日のこの時間帯、バスに乗ってる人が少ないから、癒されるだけだ。 そして、たまたま…僕以外にこのバス停に並んでるのがこの人だから、少し気になるだけだ。  
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