*+。ボク、オレ。+*

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あぁ!なんか気持ち悪い! 早くバス来ないかな! そわそわしてバスを待っていると、『あの…』と横から声が聞こえてきた。 想定外で、肩が一瞬ビクッと震えて… 『な、なんスか?』 『それ!デイルズピクチャーのストラップだよな! うわぁ、かわいいーなぁ』 振り向いた瞬間、あの人が笑っていて……―。 それを見たら、僕の中の何かがガラガラ…ッと音を立てて崩れ落ちた。 すべて、想定外。 話すはずがないと思っていたあの人に話しかけられた。 しかも、笑顔が見れた。 よく分からないけど、ギュッと心臓を掴まれた気分だ。 『あ、あの、もしもーし!聞こえてんのー?』 『…あ、は、はい』 『そのストラップいいなぁ!俺、買おうと思ってて、悩んでるうちに売り切れちゃったんだよね』 『そ、そうなんですか』 『いやぁ、いいなぁ!いいなぁ!かわいいよなぁ!』 何度同じこと言うんだ、この人。 なんて思ったけど、僕に話しかけてくれるんだったら、同じことでも嬉しいと思えた。 なんか…変だな僕。 この日から、僕は…彼に話しかけられるたびに自分の気持ちが尋常じゃないことを知った。  
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