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『ありがとー!ウレシ~!!』
特に意味のない会話をして、特に意味のないことをする。
そんなことを本当に好きな人とやれたら、楽しくて仕方ないんだと思う。
でも俺の場合は、違う。
全然楽しく思えなかった。
でも、俺が変なだけかもしれない。
彼女を好きにならなきゃ。彼女を好きにならなきゃ。
何度も何度も頭の中で念じ、彼女に接した。
好きになれるように、佐山と彰弥から離れ、彼女と行動を共にするようになった。
でも、全然楽しく思えなくて……更に自分が嫌になった。
『早乙女くん、大丈夫ですか?顔色が優れないようですが』
ある日の昼休み、彰弥が心配そうに俺のもとにやってきた。
『……え?うん、大丈夫。気にしないでおいて』
適当に流すように言うと、彰弥は悲しそうな顔をした。
『大丈夫そうには見えませんが。何か無理してるのでは?』
『…う~ん。無理してるっちゃ、してる。
でも、こうまでしないと変えられないし』
彰弥から目を離し、欠伸をかいた。
『変える?』
『あ、いや……別に。何でもないよ』
危ない危ない。
彰弥にうっかり言ってしまうところだった。
俺がそういう奴だって知ったら、きっと気味悪がられる。
俺から、みんな遠退いていく……。
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