2795人が本棚に入れています
本棚に追加
「…んー、まあ過去は過去でしょ。終わったことより今頑張んないとね。ってことで気を持ち直して、何か良い話しよー!」
由衣が空気を替えようと明るい声を出して言ってくれた。
沢木さんも木本さんも賛成し、前川さんも由衣の言葉に頷いた。
私と言ったら、同じ双子だからか…前川さんに対して申し訳ない気持ちが湧き上がる。
すごく…傷ついたんだろうな…。
「んー、じゃあじゃあ!あたしが一番楽しかった時の恋愛話するー?」
「うわー!田村の恋愛話とか聞きたくねえ!」
「ひでー、浩輔。俺、聞きたいなぁ」
…前川さんが、その2人が入れ替わっていたことに気付いていたら、何か変わったのかな…。
きっと、前川さんとその双子のお兄さんは別れなくて済んだはずなんだ。
なのに…、お互いを傷つけるような真似して…相当……………。
…相当…誰にも気付かれなかったことに苦しんでたんだ…きっと……。
「あんたが深く考えなくてもいいんじゃない?悩んだって、時間の無駄だ」
斜め前にいる望月さんが無表情でサラリと言い放った。
「…確かに…。確かにそうですね…」
そりゃ、そうだ。
私が悩んだって何も解決しないし、中学生時代の話となったら、およそ5、6年は前の話。
こんなとこで私が考え込んだって意味が無いのは分かってる。
……分かってる。
分かってるんだけど…!!!
前川さんをチラリと見た。
…楽しそうに木本さんと話している。
くそおぉ!こっちがこんなに悩んでるのに楽しそうに会話してえぇ!
あー!何かモヤモヤする!
もういい!
ご飯食べて、モヤモヤ消化だ!
お肉やサラダを自分の取り皿に目一杯入れ、バクバクと食べた。
おいひー!
最初のコメントを投稿しよう!