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『お、俺……っ』
言いたい…―!
彰弥の真っすぐな言葉に、俺は自分の想いを話そうとしていた。
彰弥なら、分かってくれるかもしれない…!
もしかしたら……―!
『早乙女くん霧山くん、聞いてよ~!』
隣りのクラスの数人の日本人の中の1人、黒沢さんがこちらに歩み寄ってきている。
結構チャラいというか、多数の男性とよく付き合ってるという黒い噂が…―
『どうしました?』
彰弥は黒沢さんを見つめ、話を促す。
俺も黒沢さんに視線を移した。
『ちょ~、聞いて。いいなぁって思ってた年上の駅前のカフェ店員にさ、声かけたわけよ。
そしたら、断られちゃってさ。
その断った理由は何だと思う?』
『さあ』
『分かりません』
俺と彰弥が首を傾げ言うと、黒沢さんはフフッと笑った。
『男!
男が好きだから、アタシとは無理だって言われちゃった~!
ショックっていうか、笑っちゃったわよ!信じらんなくて!
ていうか、こっちから願い下げだっての!気持ち悪いし!』
笑い話のように、話せるんだ。
ああ、そうなんだ。
気持ち悪いんだ…―。
俺も、気持ち悪いんだ。
きっと………、この話を彰弥にしたところで、彰弥も俺をそういう目で見るんだろう…。
気持ち悪いって…。
俺、やっぱり……今のままじゃ駄目なんだよな。
片手で顔を覆い、目を伏せた。
『黒沢さん、何がそんなに可笑しいんですか?』
真っ暗中、響いたのは、彰弥の言葉。
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