*+。ボク、オレ。+*

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『だって、男だよ? お・と・こ!信じらんなくない?気持ち悪いよ』 や、やばい。 黒沢さんの言葉が思ったよりも突き刺さる。 もう、やめ…― 『普通のことじゃないですか。人が人を好きになるっていうことは、素敵なことだと思いますけど? それが、同性であろうと異性であろうと、気持ちは同じですよ。 黒沢さんが男性に好意を持つのと変わりないことです。 同性を好きになることも、普通のことですよ。 安易に、人の気持ちに泥を塗るのは控えて下さい。 聞いてて、俺は笑えませんので』 涙が出そうだった。 彰弥の真剣な言葉が、すごくすごく嬉しくて…今にも涙が目の淵から零れ出しそうで…。 『……ご、ごめん霧山くん…。 アタシ、戻るわ』 黒沢さんは申し訳なさそうに笑って、ササッと俺たちの教室から出て行った。 『彰弥……』 やべぇ。 本当に泣きそう。 片手で顔全体を抑えてないと、バレる。 『なんですか?』 彰弥は、大した話をしてないかのように依然としているっていうのに。 『お前、すげーよ。 本当に……すげー…』 『…何のことですか?』 彰弥は、まったく分かってなくて…。 いや、無理に教えなくてもいいよな。 『いや、何でも』 彰弥は、すげー。 今までの俺の気持ち、全部…全部……変えてくれた。 俺は、変じゃないんだ。 俺は、“普通”なんだ。 片手をよけて、広がった世界は…いつもよりも輝いて見えた気がする。  
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