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早乙女くんがきっと頭を下げたくない人ナンバー5位には入るであろう私に、真剣に頭を下げてくれている。
そんな早乙女くんの気持ちを考えると、涙が出てきそうになる。
「…うん。絶対、絶対、幸せにするよ…!」
そう言って、早乙女くんに小指を出した。
「…なに?」
首を傾げる早乙女くんに
「ゆびきりげんまん、しよう。約束だから」
と言って笑ったら、泣いている早乙女くんも「バカじゃねぇの。子供じゃあるまいし」と笑った。
彰弥くんは絶対譲れないけど、私が幸せに出来るように頑張るから。
ゆびきりを早乙女くんと交わすと、早乙女くんの涙は止まっていて…そろそろ部屋を出ようと言った。
私も頷いて、部屋を出る。
「彰弥と佐山探さないと」
早乙女くんが呑気に伸びをして、廊下を見渡した。
意外と広い廊下には、人の気配がまるで無い。
な、なんか人の気配がまったく無いと、怖くなってくるんだけど…。
「さ、早乙女くん…。なんか怖くない…?」
「甘えてくるなよ、うざいから」
「え!?最初とキャラ違くない?もっと可愛い感じの人だよね?」
最初はもっと可愛いハキハキ系じゃなかったっけ?ハルちゃんに近い可愛い感じの青年だと思ったのに。
「初対面はみんなそんな感じだろう。慣れたら、こんなもんだろ」
けっ、と口をへの字に曲げて言う早乙女くん。
…全然ハルちゃんに近くねえぇ!!
「慣れすぎじゃない?」
「うるさい、黙れ、しばくぞ」
ヤクザさんみたいになってますけど!
慣れるとかの問題じゃないよね!?
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