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「見た目で騙される奴が悪い。もともとこんな性格なんでね」
…可愛い女の子の裏の顔を見たような気持ちだ。
「…まぁ、お互い素の方が楽だもんね」
早乙女くんの口が悪くなったのは、きっと私に心を開いてくれたんだ。
「わかってるじゃん。あ、でもアンタはそんなに出しゃばるなよ。うざいから」
「本当に容赦ないね、君って子は」
でも、早乙女くんがどんな人か分かって良かった。
最初は、自由奔放そうな性格に苦手意識を持っちゃったけど、本当は彰弥くんのことが大好きなちょっと…いや、かなり口が悪い男の子ってだけだもんね。
「それにしても、彰弥たち見つからねーなぁ」
「そうだね…。どこ行ったんだろう」
さっきの道に戻ろうと歩いても歩いても、彰弥くん達と会わない。
「二人して、どこか行っちゃってたりして」
ニヤッと笑ってから、徐々に顔色が悪くなる早乙女くん。
「そんな、自分で言って落ち込まないでよ」
私まで落ち込みそうになるじゃないか。
「俺、こう見えて結構落ち込みやすいんだよね」
「あ、そうなの?私もだよ。もうちょっとのこと気にすると、すぐ落ち込んじゃうんだよね」
なんだ、早乙女くんもそういう一面があるんだ。
なんか仲間意識しちゃうなぁ。
「うるせぇ!一緒にするなぁ!」
「ええぇ!?なんか酷くない!?」
「なんか仲間意識しちゃうなぁ、るんるんとか思っただろ?」
ギロっと、早乙女くんに睨まれ、肩が少しビクつく。
「いや、るんるんとまでは思ってないけど…」
「まぁ、いっか。彰弥達ここら辺にはいないし、アンタと彰弥の部屋行ってみる?」
「そうだね。もしかしたら、そこにいるかもしれないね」
廊下を曲がって、私と彰弥くんが泊まる部屋に向かった。
部屋の前に着くと、扉が半開きだった。
「あ!いるかもな!」
「ちょっと入ってみよっか」
もしかして、いるのかな?なんて思いながら、二人で扉をゆっくり開くと…
中の光景を見て、目を見開いた。
「……!!!」
なんで…?
佐山さんと…彰弥くんがキス、してるの?
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