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「佐山!なんか言えよ!」
「………」
早乙女くんの大きな声が聞こえる。
そっか…早乙女くんも彰弥くんのこと好きだもんね…。ショックだよね…。
俯いて早乙女くんの声を聞いてると、
「…早乙女くん、俺から話します」
彰弥くんが冷静な声でそう言ったから、少し顔を上げた。
顔を上げると視界が広がって、彰弥くん達が見える。
佐山さんに掴みかかるような勢いの早乙女くんと…困ったような辛そうな顔をしている佐山さん。
その間に、佐山さんを庇うように立っている彰弥くん。
…見たくなくて、また俯いて目を伏せた。
「な、しょーや!なんで佐山の前に立つんだよ!」
驚いて言う早乙女くんの声に対して、彰弥くんは至って冷静だった。
「佐山さんをそんなに責めないで下さい」
「なっ…!お前の彼女が泣いてるんだぞ!それなのに佐山を庇うのかよ!?」
うわぁ…早乙女くん、やめてぇ…。
これで彰弥くんが悲しいこと言ったら、私もう無理かもしれない…。
涙を拭ってる指の隙間から、みんながチラリと見えた。
「………っ…!」
彰弥くん、こっち見てる…。
ビクビクしてまた目を隠す。その瞬間、彰弥くんの表情が冷たいように見えた。
その後すぐに、彰弥くんのハッキリとした言葉が部屋に響く。
「…佐山さんは、何も悪くありません。俺から…しました」
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