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「で、どうします?俺の話、聞く気になってくれましたか?」
「う、うん…怖いけど…聞く。聞くから、あまり残酷なことは言わないで…」
彰弥くんの顔を見ないで、頂いた飲み物を飲んだ。…うん、こんなときでも心を和ましてくれるお茶だ。
「残酷なことは俺も言うつもりはありませんけど。
どうやら俺は重大なことに気付いてしまったみたいです」
彰弥くんがあからさまに意味ありげに言うから、「え?なに?なになに?」と過剰反応してしまう。
もしかして、早乙女くんが彰弥くんのこと好きだったことに気付いちゃったとか…!?
どうしよう。こういうのって早乙女くん気付かれていいものなのかな?
早乙女くんにとって、それがいいって言うんだったら私もいいけど…もし早乙女くんが嫌だったら、私が彰弥くんに誤解だって言わないと…!!
でも、もし違うことだったら…?
たとえば、彰弥くんは私じゃなく、佐山さんのこと好きだってことに気付いたとか?
それはそれで絶対嫌だ!断固阻止したい…!!
「えっと…それは佐山さんに関係すること…?」
踏み込みたくないけど…言わないと何も始まらないよね…。
震える唇をギュッと噛み締めた。
「ええ…そうです」
サラリと言ってしまう彰弥くんに、更に唇を噛み締めてしまう。
どうしよう…!大事な話って、これ!?
さっき言ってた彰弥くんの言葉はなんだったの?
「あ、あの、私…それ聞いてショック受けたりしない?」
恐る恐る聞いてみると、彰弥くんは少し困ったように笑った。
「分かりません。でも、蓮華は喜んでくれるって信じてます」
え?
私が喜ぶって信じてる…?
それは、彰弥くんが誰を好きになっても、私だったら納得してくれるって信じてるってこと…?
…正直、その話だったら…私は心から喜べないかもしれない。
だって…彰弥くんのこと私も好きだし…。佐山さんが良い人だったとしても…私は譲りたくない。
って、そんな私のワガママが通るわけもないんだ!
聞いてみよう…!
「…分かった。言ってみて」
「どうやら、佐山さんが…」
息を呑んで聞くと、やっぱり佐山さんのことで…私は目をギュッと瞑った。
さぁ、言って…!一思いに!!
「…早乙女くんのことを好きみたいです」
…………え?
ん?
私は瞑っていた目を、今度は思いっきり広げることになった。
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