*+。良かったねって。+*

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彰弥くんの後をついていくと、私たちの部屋に着いた。 …さっきの修羅場みたいな場面をまた経験しなきゃいけないの…? 内心、溜め息が出そうなくらい気持ちが重かったけど…彰弥くんがあっさり部屋の中に入っていくから、ついて行かないことも出来ず、私も中に入った。 中から言い合いが聞こえる。 「だから、なんでお前と彰弥が…!」 「そんなの早乙女くんには関係ないでしょ!」 「関係あるから言ってんだ!彰弥には、彼女いるんだぞ!」 「だから、なに!?そんなのあたしには関係ない」 わあ…入りたくない。 この言い合いについていける自信がない。 遠目から二人を見ていると、彰弥くんが隣りで「ふふ」と笑う。 私はそんな彰弥くんを危うく一睨みするとこだった。 こんな状況で笑うなんて、どうしたの!笑う場面ひとつもありませんけど! 「彰弥くん…空気を読めない私でも分かるほど、笑う場面じゃないと思うんですけど…」 遠慮がちに言うと、彰弥くんはにっこり笑った。 「まあ、少しここで見てて下さい」 私と彰弥くんが玄関口まで上がって来てることは、二人はまったく気付いてないみたいで…ひたすら言い合っている。 「…うん。分かった」 彰弥くんが伝えたいことは心底謎だけど、とりあえず見てるしかないよね。 「落ち着いてください。二人とも」 言い合っている二人の間に彰弥くんは入っていった。 彰弥くんが来た途端、二人は大人しくなる。 後ろめたそうに下を向く佐山さんに、彰弥くんを信じられないとでも言いたげにみる早乙女くん。 この三人の雰囲気…あまり宜しい状態とは言えないと思うんだけど…。 「……なぁ、彰弥。本当なのか?彰弥から…したって…」 早乙女くんの信じたくない…と言う顔が…とても真剣で…私も何だか苦しくなった。 「いいえ、してませんよ」 あっさり笑顔で彰弥くんが…。 って、ええええぇえぇ!!! さっきワケが分からない感じで濁されたけど、してないの!!?彰弥くんからはやっぱりしてないの!? じゃあ、なんで早乙女くんのことが好きらしい佐山さんから!?  
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