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やっぱり分からないよ。
早乙女くんを好きな佐山さんが彰弥くんにそんなことして、何か意味はあるの?普通マイナスになることしか起こらないんじゃないの?
早乙女くんを見ると、早乙女くんも口をあんぐりと開けていた。
「じゃあ、やっぱり彰弥からしてなかったんじゃん!なんでウソ吐いたんだよ!?」
また、佐山さんに詰め寄っている。
佐山さんは何も言えないような顔で下を向いているし…。ワケが分からない。
「佐山さん、何か理由があったんですよね?」
優しく聞く彰弥くんに佐山さんは申し訳なさそうにコクッと頷いた。
「…理由って?」
早乙女くんが可愛らしい顔をしかめっ面にしながら聞くと、佐山さんは肩をビクッと動かした。
険悪な二人に、いつも通りの彰弥くん。この組み合わせは、いいようにいくとは思えないんだけど…。
佐山さんが無言を貫き通していると、早乙女くんがフーッと息を吐き出した。
「はぁ…まあ、いいけど。彰弥の彼女にちゃんと謝れよ。そんな簡単に会ってくれないと思うけどな」
早乙女くん…、なんだかんだ言って私のこと考えてくれてるんだなぁ。
早乙女くんの優しさに感動していると、佐山さんが感情を隠しているような何とも言い難い顔をしているのがチラリと見えた。
「…………私、ここにいます」
それを見てると、何だか私ひとりが見てるのって…申し訳ない。
ひょっこりみんなに姿を見せた。
「って、簡単に出てくんのかよ!」
「あ、早乙女くん。さっきはありがとうね。もう大丈夫だから、佐山さんとふたりでゆっくりお話しようかと思って」
ただ、佐山さんの本心を聞こうと思って言った言葉が、何故か早乙女くんと彰弥くんには怖い意味に聞こえたみたいで…。
「わ、分かった。だけど、殴り合いはすんなよ」
「あまり佐山さんを責めないで下さい」
と恐る恐る私に言って、二人は部屋から出て行った。
部屋を出る直前、彰弥くんは私の肩を叩いて、「さすがに女性の心は上手く誘導できませんので、そちらは宜しくお願いします」と言って。
…誘導って、出来ないよ。
でも、彰弥くんが言ったことが当たっているんだったら、理由を聞きたい。
このままじゃ、ワケが分からなくて頭がパンクしかねない。
目の前の女の子を見つめた。
私から目を逸らす彼女は、全身から悲しみのオーラを放っていた。
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