*+。良かったねって。+*

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佐山さんが早乙女くんを好きだということは今ので分かった。 でも早乙女くんが私と彰弥くんをケンカさせたら喜ぶって思ったのは、なんで…? 「早乙女くんがなんで喜ぶの…?」 早乙女くんは彰弥くんが好きだから、私と彰弥くんがケンカしたら喜ぶかもしれない。でも、なんで佐山さんがそんなことを企てるのかが分からない。 「……知ってるの。ずっと早乙女くんのこと見てきたから…。…その…早乙女くんが…」 かなり言いづらそうに口元を抑えている。 佐山さんが伝えたいことはなんとなく分かる。 早乙女くんのことを好きだってことと、早乙女くんが彰弥くんを好きだってことも知ってるんだろう。 でも、佐山さんの口から全部聞かないと意味がない。 「早乙女くんのことは分かる。さっき本人から聞いたから」 そう言うと、佐山さんはホッとしたかのようにボロボロと涙を零し始めた。 「じゃ…じゃあ…知ってるの…?早乙女くんのあのこと…」 「うん…」 「なんだ…そうなの…っ…」 目元をゴシゴシ擦っている佐山さん。緊張感が解けたのか顔がグシャグシャになっていた。マスカラのせいで黒い涙が頬を伝っている。 「辛そうだったけど…教えてくれたよ。早乙女くんも、良い恋をしてたんだね」 微笑んで言うと、佐山さんは目を見開いていた。 「…あ、貴方もそう…っ…思う…?あたしも…っ、早乙女くんの気持ちに気付いたとき…っ…す、素敵だと思った…っ…」 「うん」 「入学してから、ずっと…早乙女くんと霧山くんと一緒に行動して…っ…。早乙女くんが…純粋に霧山くんを想ってるの見て…っ、いいなぁって…思ってて…っ…。き、気付いたら…早乙女くんのことばかり考えてて…っ、でも…早乙女くんは霧山くんしか…ひっく…み、見てないから…っ、何か…手伝えたらなぁ…って…。おも、思って…っ。 今回の貴方たちのりょ…旅行に一緒に加わって…っ、早乙女くんが貴方と急にき、消えるから…っ、何かあったんじゃないの…?って思ったけど…、そ、その後…早乙女くんから電話が来て…そ、その電話の内容が…き、霧山くんと…キスしたことあるって話になってたから…。本当は一回もしたこと無かった…け、ど…した方が…貴方と霧山くんを別れさせられるかもしれないから…そしたら…早乙女くん喜んで…く、くれると思って…。それで…っ」 やっぱり…好きな人の為だったんだね。    
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