*+。良かったねって。+*

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何もしていないのに…早乙女くんがどんどん離れていく気がする。 あたし、まだ何も言ってないんだよ…? なのに…、何も伝えなくてもそんな顔されるの…? あたし、どうしたらいいの…? 呆れられるの嫌だよ…。 でも、困られるのも嫌だよ……。 だけど、冷たくされるのはもっと嫌だよぉ…。 「…い…イヤ…嫌だぁ…」 早乙女くんに冷たくされるのは…心が折れる…。 そう考えると、涙がボロボロ零れ落ちてきた。 「ううぅ…!!いやだよぉ…っ」 涙が…止まることを忘れたみたいで…沢山零れ落ちる。 こんな姿見たら、早乙女くんは引くかな…? あたしのこと…もっと嫌いになるかなぁ…。 でも、止まらない。 もうこんな顔見せたくなくて、さっきみたいに座り込み、下を向き、両手で顔を隠した。 もう…恥ずかしくて、顔なんて到底見せられない。 俯いていると、早乙女くんの顔は見えないけど、さっきより深い溜め息が聞こえた。 更に嫌われたかも…。 あたし、自分で気付かなかったけど…こんなに面倒くさい女だったんだ…。 もう、ごめんね。早乙女くん。 呆れちゃうわよね、こんな子。 俯いていると、何も見えないから…さっき以上の早乙女くんの呆れた顔を見なくて済む…。 そう思っていると、頭の上に何かが乗って、あたしの肩は驚きで一瞬弾む。 「…何が嫌なの?」 静かな早乙女くんの声が近くで聞こえて、合わせて座ってくれてるんだっていうことと頭の上に乗っているのは早乙女くんの手だっていうことが分かった。 「…こ、こんな時に優しくしないでよ…」 頭の上に乗っている手は、すごく優しい手。 あたしはずっと…この手が欲しかった…。 あたしだけのものになって欲しかった。 でも、それは無理って分かったから…ずっと言わないで我慢してきた。 それなのに。 「…はぁ?大事な友達が泣いてんだ。心配するに決まってんじゃん」 それなのに…! 「…早乙女くんってさぁ、いつもグチグチうるさいけど、本当は優しいよね」 もう知らない。 あたしは我慢してきた。 ずっと…。 「グチグチは余計だ。いつも俺は親切丁寧で優しい正直者だろ」 でも、もういいよね。 「じゃあ、あたしが早乙女くんのこと好きって言ったら…どうする?」 もう…終わりだね。  
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