2795人が本棚に入れています
本棚に追加
--蓮華Side--
佐山さんと早乙女くんを二人っきりにして何十分か経過した。
あの様子を見る限りだと、落ち着いて話が出来なさそうだけど…大丈夫かな…?
「…あの二人、大丈夫かな?」
「大丈夫ですよ。早乙女くんも自分の気持ちに素直になったら、二人とも上手くいくじゃないですか」
隣りを歩いている彰弥くんは余裕でそんなことを抜かしおる。
って、自分の気持ちに結構素直な早乙女くんが正直に言っちゃったら、佐山さんのこと間違いなく振るよ!そして彰弥くんに気持ち伝えちゃうよ!
「いや、あれ以上素直になったら…ちょっと困るかな」
「なぜです?二人とも、両思いで万々歳ですよね」
くぅぅ!!なにあっけらかんとした表情で言ってるの!
意外と鈍感だよ彰弥くん!
そんなこと考えていると、どこからか着信音が聞こえた。
「あ、俺の携帯からですね」
電話だったみたいで、すぐさま出る。
「はい。え?ええ。あ、はい、わかりました。もうお話は終わったんですね。
ええ。ええ、分かりました。もう帰られるんですね。はい、では今向かいます」
そう意外と長く話し、彰弥くんは電話を切った。
彰弥くんの言葉からは何を話していたか分からないけど。
「誰だったの?」
「早乙女くんからでした。とりあえず和解したとのことです。
あと、よく分かりませんがそろそろお二人とも帰られるそうです」
にっこり笑っている彰弥くん。
友達が仲直りしたら、やっぱり嬉しいよね。
私も嬉しいや。
「じゃあ、二人の所行こうか」
「ええ、そうですね。お別れしないといけませんね」
電話では、もう帰る準備をして受付の前に居ると言っていたらしい。
慌てて受付前に行くと、さっきまで仲悪そうにしていた二人は、今は仲良く笑って話している。
「早乙女くん、佐山さん。すみません、お待たせしてしまって」
彰弥くんが二人に笑顔で歩み寄ると、二人も私たちの方に気付いてくれた。
「お、しょーや!待ったぞー!俺ら、もう帰るから元気でな。
色々邪魔したなー」
笑顔で彰弥くんと話す早乙女くん。
「本当に沢山ご迷惑かけて、ごめんなさい。
いつかお詫びさせてね」
コソッと私に申し訳なさそうに謝る佐山さん。
結局二人はどうなったのかな?
「フラれたけど、あたし諦めないことに決めたの」
気持ちが顔に出ていたのか佐山さんが笑って教えてくれた。
最初のコメントを投稿しよう!