*+。会いたい。+*

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「どうかした?」 急に立ち止まった私に、望月さんが振り返って聞いてくれたが、私は口元を抑えてブンブンと首を振った。 ど、どうしよ…。 気持ち悪い……モヤモヤというか…なんか出てきそうな…。 「も、……ち月さん…」 「……?何か忘れたか?言ってみろよ」 「は……吐きそ…」 「は!?ちょっと待て!お、落ち着けよ。今連れてってやっから!」 望月さんは私の言葉を聞いて目を真ん丸にしたが、私の肩を掴み、膝裏を掴み…私の身体は宙に浮いた。 「…!!」 「大丈夫だから、ちょっとの我慢な。公衆トイレがそこら辺にあったから、今連れてってやる」 細っこい望月さんの肩に、私は担がれていた。 細いように見えて、意外としっかりしてる肩幅にちょっとビックリ…って、そんなこと思ってる場合じゃないわ。 「…も…出るかも…」 「わーっ!ちょっと待った…!もう少し我慢しろ!な!」 望月さんは急いで私を公衆トイレに連れてきてくれた。 公衆トイレの便器にありったけのものを吐き出す。 自分が食事したものがみるみる出てくる。原形は留めてはいないが。 「…大丈夫か?食い過ぎなんだよ」 望月さんが呆れた声で、私の背中をさすってくれている。 なんか…ちょっと落ち着いたかも…。 「……望月さんって、無愛想で冷たくて他人に無関心な人だと思ってたけど、意外と良い人なんですね」 「具合悪い奴じゃなかったら、ぶったたいてやるわ」 望月さんがイラッとしたように言い放った。 若干、綺麗な唇の端が苛つきによってつり上がっている。 「嘘ですよ、すみません」 「何サラリと嘘で済まそうとしてんだ。嘘に聞こえねーよ」 ば、バレたか。  
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