*+.君のすぐ傍.+*

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彰弥くんに支えられて、何とか部屋に戻ることができたけど…分かったことがある。 どうやら私は熱があったらしい。 普段滅多に風邪を引かない私が、熱にやられるなんて…不覚だった。 お布団を敷いてもらい、ゆっくり彰弥くんに手伝ってもらいながら、身体を横にした。 お布団の中に入ると、彰弥くんが優しく掛布団をかけてくれる。 ちょっと真剣な顔の彰弥くんを見ると泣けてくる…。 「…疲れましたよね?大人しく寝てくださいね」 「う…うぅ…うぅぅぅぅ」 優しい。優しすぎる…。 そんな優しい言葉かけられたら泣けてくる。 腕で自分の目を隠し、情けない呻き声を出した。 「どうかしました?」 心底なんでこんな呻き声を出しているのか分からないといった顔をしている彰弥くん。 やめてぇ…もうそんな優しい顔しないでぇ…!申し訳なく思うから! 謝りたくても、上手く言葉が出てこない。 少し布団の中で落ち着き、ゆっくりと口を開いた。 「ごめ…ごめんねぇ…。わたし…ぜんぜん彰弥くんのこと楽しませてあげられなくて……」 むしろ迷惑かけに来たんじゃないかっていうくらいだ。 少し喋るのにも頭がボーっとしてて、上手く伝わっているのかも分からない。 ただ、私から見える彰弥くんは笑顔だ。 寝ていても彰弥くんの笑顔を見れるのは、不幸中の幸いかもしれない…。 というか、なんで彰弥くん本当にすごい笑顔なの? 「なんで…そんなに笑ってるの…?」 気になって聞いてしまった。 すると…彰弥くんは右手を私が見えるように上げた。 その手には、白いタオル。 「理由はありませんよ。 そろそろ汗かいてきたんじゃないですか?」 「…あぁ、そうだね。なんか汗結構かいてきたかも」 布団にジッと大人しく入っていたら、この季節だと暑くて…徐々に汗が出てくる。 「では、身体を拭いて差し上げますね」 にっこり笑顔の彰弥くん。 「あ、うん。ありがとう。よろしくね…って、ええええぇぇぇえ!!?」 彰弥くんの笑みが、怖くなった瞬間だった。  
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