*+.君のすぐ傍.+*

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「今何時なんですかね?」 彰弥くんが、私から手を離し、身体を起こした。 …ちょっとガッカリ…。 「分からない…。でも結構寝てたかも」 「あぁ、本当ですね。もう7時半ですよ」 時計を見ながら言う彰弥くんに欠伸をしながら「そうなんだー」と返事をした。 あれ…?結構寝てたつもりだったのに、全然時間経ってないじゃないか。 さて、夜ご飯戴かなければね…。 それにしても電気を点けてないのに、この部屋明るいなぁ。もう夜だっていうのに…。 フと、窓に視線を向けてみる。 眩い光が私の視覚を刺激した。 ……うわぁ、7時って朝の7時だったんだね。 …私なにやってるんだろう。 折角の旅行で寝ちゃうなんて…。 「さて、朝食でも食べに行きますか。あ、それとも朝風呂にでも入ってきますか?」 彰弥くんが窓の外を眺め、伸びをして私の方を振り向いた際…私は彰弥くんの顔を見れなかった。 「ごめんなさい!」 だって、布団の上で彰弥くんに土下座してたんだもの。 「…蓮華?どうかしました?何を謝っているんですか?」 心配してくれるのが更に申し訳ない。 楽しい旅行が寝るだけの旅行になってしまった。 「ごめんなさい。私、ずっと寝てて…起きたらもう朝だなんて…」 信じられない。自分が憎い。 彰弥くん、また大学に帰っちゃうのに…。よくもまぁ、一緒にいれる時間があったのに…呑気に寝れたもんだわ私…。 「顔を上げてください」 彰弥くんの慈悲深い言葉に、すぐ顔を上げた。だって、頭に血が上りそうになってフラってなりかけたんだもの。 顔を上げたら、これまた彰弥くんの優しい笑顔。もういいんじゃないかってくらい、私に向かって優しい顔をしてくれる。 「俺、別に嫌な思いなんてしてませんから蓮華が謝ることなんて何一つありませんよ」 「で…でも、私…彰弥くんと折角二人で居れるのに…具合悪くなっちゃって寝ちゃうし…。しかも朝まで寝ちゃうし…」 とことん駄目子だっていうことが分かりました…。 項垂れていると、彰弥くんが私の肩にポンと手を置いた。 「具合はどうですか?」 「…もう完璧治りましたよ」 フッと自嘲気味に笑うと… 「でしたら、良かったです。蓮華の健康が第一ですから」 こんな私に、優しく接してくれる彰弥くんに涙が出そうになった。 やっぱり…彰弥くんは天使の子だ…。  
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