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「それで帰って来たんだ~」
「うん」
「変なところで無駄に物わかり良いんだな。普段は悪そうなのに」
「傷心の私にそれを今言いますか」
目の前には、椿と義貴先輩。
旅館から帰ってきて、家に帰ると椿が色々質問してきて、私も普通にあったことを話したらいつの間にか義貴先輩まで家に来ていて、私の部屋で『旅行報告会』と称された話をしている。
ただ私の旅行の話を聞きたかっただけかもしれないけど、良い話がまるっきりない。
「要するに、彰弥くんとラブラブしていたところ、彰弥くんの友達が現れて…まぁ、いざこざが発生してなかなか肝心の彰弥くんとはラブラブ出来ず。友達が無事納得して帰った後、イチャイチャしようと思ったら蓮華がワケの分からない症状に苦しむ。彰弥くんが一緒の時間を大切にしようとしてくれたのに、その症状に苦しみ、次の日の朝まで爆睡。それで具合が良くなって、いざ彰弥くんと旅行を楽しみましょうとなったところで、その謎の電話がかかってきて、彰弥くんが蓮華を旅館に置いて帰ったってわけね」
「んー、あんまり肯定したくない表現が入ってるけど、まぁ…そんな感じかな…」
私にしては長旅で疲れているのに…なんでこんな二対一で尋問みたいになっているんだろう…。
「それにしても、アイツがお前を一人で置いて帰るって…想像できねぇな」
眉間にシワを寄せ、義貴先輩が頭を掻いた。
「あー、椿も思ったわ。彰弥くんがそんな風になるなんて、よっぽどの用事だったのかしら?」
「その用事が分かればいいんだけど…何も説明なしに行っちゃうから…心配で…」
もし嫌な話だったら…彰弥くん…今気持ち的に不安定だったりして…。
良い話だったらいいんだけど。
ぐぅぅ…考えると頭が痛くなってくる。
嫌だなぁ、こんな不安な気持ちになるの…。
溜め息を深く出すと、背中をバシンっと叩かれた。
「いっだぁ!!!?」
背中を抑え、叩いた方を見ると
「バカだなぁ、お前。
離れていても、ずっとお前のこと好きでいてくれたんだろ?
お前も変に無い脳みそ使わないで、頭からっぽのまんま連絡待っててやれよ」
義貴先輩が笑っていた。
不思議だ、義貴先輩って…こんなに簡単に人の不安を拭い去ってくれる人なんだ。
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